東京医科大学の問題から女性活躍のホンネについて

September 12, 2018

 

 

【ビズサプリ通信】
こんにちは。ビズサプリの辻です。

今年の夏は本当に暑かったですね。「喉元過ぎれば熱さを忘れる」で、何と
か乗り切ったということに安堵してしまっています。「〇年に1回の猛暑」
「ゲリラ豪雨や線状降水帯による豪雨も含めて、「異常」と片付けるのでは
なく、これが毎年起こることを前提に備えておかないといけないのかもしれ
ないですね。

さて、今日は女性の受験者に不利になるような得点調整を行っていたという
東京医科大学の問題から女性活躍のホンネについて考えていきたいと思います。
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■ 1.点数操作と女性活躍のホンネ

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「女性は年齢を重ねると医師としてのアクティビティが下がる」(学校法人
東京医科大学内部調査委員会の調査報告書)などということで、女性の受験者
に対して不利となるような得点の調整を行っていた東京医科大学の不正入試問題。
この報道を聞いた時、みなさんはどのように感じられたでしょうか。

上記の調査報告書では、「女性の受験生をただ女性だからという理由だけで
差別してきたことに関しては、社会が女性の活躍を促進するべく様々な方策を
施していることに真っ向から反抗するものであって、断じて許されるべきでは
ない。」とばっさりと言い切っています。また様々な報道をみても「女性がや
めなくて済むような勤務形態とか働き方とかを真剣に考える方が先で、それで

入試の点数を操作するなんて許されるべきではない。」という論調が大半だった
かと思います。

確かにおっしゃる通り。私自身も一女性としてこのような調整が入試で行われ
るということは本当に腹立たしいと感じます。ただ、東京医科大学をバッシン
グしておしまいにしていいお話ではないように思います。むしろ、バッシング
報道が色々な議論の機会を奪っているようにも思えてきます。

医師向けの人材紹介エムステージが、今回の東京医科大学の対応について女性
医師を中心にアンケートしたところ、肯定的な回答(「理解できる」「ある
程度理解できる」)と回答した医師が65%ということだったとのことでした。
男性医師ではなく女性医師がこのように答えているということは興味深いこと
です。「現状では仕方がないというあきらめの境地」とか、「産休や育児休暇
で抜けた穴をカバーしている未婚の女性医師が複雑な環境を吐露している」
とした分析がされています。産休・育児休暇でお休みをとる人、復帰後の時短
勤務のカバーをしている未婚の方や男性社員が持つ割を食ったような感情は何も
医師に限ったことではなくよくあるお話です。ただ、このようなホンネは口に
出すことはできない空気があります。

一方でお休みや時短勤務をしている側としては子育てで必死です。なかなか
自分の仕事をカバーしてくれている上司、同僚、後輩に感謝や配慮するまでの
余裕がない場合も多いかと思います。いきおい「こんなに頑張っている」と
いった自己主張をしてしまうケースもあるかと思います。

支える人と支えられる人、両者の溝は深まるばかりです。「何か報われてい
ない感じ」や「何か損をしている感じ」といった感情が渦巻いている職場も
結構あるのではないでしょうか。

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■ 2. 日本人はもっとも会社を信用していない?

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性別に関係はないですが、米国のPR会社Edelmanの調査では、世界28カ国中、
日本人は、「世界で、最も自分の働く会社を信用していない国民」という
結果がでたそうです。「自分の会社を信用するか」と言う問いに対して
「信用する」と答えた割合はわずか40%で調査した中で最低で、米国(64%)
、イギリス(57%)、中国(79%)、インド(83%)よりはるかに低く、
ロシア(48%)よりも低いそうです。

その要因の仮説として筆頭で挙げられているのが、「長時間労働」です。
(東洋経済オンライン 2016年9月4日号)つまり、女性活躍促進を妨げて
いる長時間労働は、女性の活躍を阻んでいるだけではなく、性別に限らず
働く人のモチベーションを下げ、会社と個人の信頼関係を壊している残念な
結果のようです。

最近は、「働き方改革」で長時間労働を見直す動きも出てきています。
この動きの中で、RPAやAI等のテクノロジも積極的に活用し、生産性を高め
ていくことは有力な解決策の一つです。「必要なのは技術を正しく使うこ

とだ。急速に普及するロボットや人工知能(AI)を企業ごとにふさわしい
やり方で取り入れ、効果を検証しながら改善する。ITの導入で機械ができる
ことと人が担う業務を選別し、テレワークも活用したい。(中略)姿が見え
ないからさぼっているというのは過去の発想だ」(日本経済新聞2018年9月
4日号 サントリーHD新浪氏の記事より)ということです。これまでの仕事に
ついて、「人間がやるか」「人間がやらなくていいのか」といった新たな
目線で整理すればこれまでにない形で長時間労働から解放されるようになる
かもしれません。

また、日本航空も新しいシステムを導入してAIを活用して料金設定を行った
ところ、収益が大幅に改善したという記事もありました。(日本経済新聞
2018年9月3日)。この料金設定は長年の勘と経験でベテランが実施していた
業務ということですから、長年の勘と経験がAIまたはAIとデータベース
という新たな資産となって、会社の収益に貢献したということでしょう。

一方で、「医師はAIの導入に消極的な人が多い。」というお話をあるシス
テム会社の方からお聞きしました。「今やっていることが変わることに対
する抵抗感」があるそうです。確かに仕事のやり方を変えていくということ
は簡単な話ではないかもしれませんが、そうしないと今の人手不足と長時間
労働は解消されません。それは性別に限らず不幸な働き方であることは前述の
アンケートからも明らかです。

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■ 3.「できる」と期待される方が本当にできる

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ITといったテクノロジだけでなく、人間同士の信頼関係も女性活躍のためには
必要です。私自身の経験からも、色々な研究からも、女性は自分の能力を過小
評価し、物事に対して保守的に考え「できない」と予防線を張ってしまう事が
多いようです。(逆に男性は、自分の能力を過大評価し、「自分はできる」
というアピールをすることが多いそうです。)

女性に何かチャレンジの機会を与えようとしても、「できない」といった否定
的なレスポンスを受けてしまうと、チャレンジの機会を設けようとした上司側
としては、あまりよい気持ちがしないものです。特に上司側は男性であることが
多いため、そのレスポンスを理解できず、物足りなく思ってしまう気持ちはな
おさらだと思います。
ただ、このようなレスポンスが性差に基づく「癖」みたいなものだと知って
いたら、少し心持ちは変わってくるのではないでしょうか。「男女分け隔て
なく」といいますが、生物学的に色々な違いがあるわけです。その違いを一つ
の個性と考え、そのような違いを知っておくだけでずいぶんコミュニケーション
の仕方も変わってくると思います。

また、「上司の期待に合わせて部下の成績が上下する」といった実証的な実験
結果や、治療にあたる医療関係者が、「この患者は治る」と期待している場合
の方がそうでない場合に比べて治療の効果が格段と上がるといった研究結果が
あるそうです。(動機付ける力 モチベーションの理論と実践 DIAMOND 
HBR編集部)

「個性を知り、信じて任せる」これも女性活躍に関わらず、幸せな会社への
第一歩かもしれません。

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