• 花房幸範

財務経理の業務改善の進め方

更新日:2021年3月13日


こんにちは。ビズサプリの花房です。

今国会では1ヶ月ほど前に、厚労省から提出された不適切な調査データがきっかけで、今回成立を目指す働き方改革法案の目玉の1つであった裁量労働制の拡大について、法案から切り離すとの決定がなされており、これによって、少子高齢化が進んで益々働き手が減ることで急がれる日本の生産性向上に、ブレーキがかかるのではという声もあります。しかしながら企業としては、法案の 成立云々に関わらず、生産性向上を進めて行かなければなりません。生産性向上が求められるのは現場だけでなく、財務経理の業務についても同様であり、言葉を変えれば業務改善ですが、今回は財務経理業務の改善について考えてみたいと思います。


■ 1.経理業務の特質


業務改善は「カイゼン」として海外でも使われているくらい、製造現場においては現場発信の活動として普及していますが、経理を始めとする管理部門においては、業務改善をやろうとして何度取り組んでも、なかなか進まないケースが散見されます。


理由の1つとして、製造現場や店舗のような現場作業は、仕事の対象がモノやサービスと言った、具体的に品質を評価したり、作業手順を標準化しやすく、成果を絶対評価し易いのに対して、経理業務は主に情報を取り扱い、仕事の品質や成果について明確に定義できないことが多く、絶対的な評価をしにくい、という特徴があります。


また現場作業は工程を細かく分けることができ、1つ1つの工程をシンプルな業務に落し込むことが出来るのに対して、経理業務


は種類が多岐にわたり、複雑な業務も多いという特色があります。


さらに評価について言えば、現場作業は通常は品質やサービス評価について専門の部署が評価を行うことから評価手法が確立し、非効率さや不良品は製造原価を押し上げることになるため、現場そのもののコスト削減意識が元々高い一方で、経理業務は仕事が見えにくく、担当者のスキルの差が影響しやすいので、品質管理が難しく、非効率な作業によるロスも金額的に評価することが難しい、と言えます。

■ 2.業務改善のプロセス

このように経理業務は見えにくく評価しづらいからと言って、業務改善を諦めるわけにはいかないので、ではどのように経理業務を改善して行けばいいかのプロセスを示すと次のようになります。経理業務に限らず業務改善は通常、大きくは、①業務の可視化、②業務の定量化、③課題・問題の特定、④解決策の策定・導入、の流れになり、それぞれ、


①業務の可視化:現状の業務内容を棚卸しすること ②業務の定量化:それぞれの業務内容について工数(時間)を算出すること ③課題・問題の特定:現状の姿とあるべき姿のギャップ=問題点、を把握すること ④解決策の策定・導入:現行プロセスを前提とした改善と、プロセスそのものを再構築する改革ということになります。


業務は放っておけば、自然と増えるものです。例えば上司が変わると要求する資料が変わる、制度が変わり新たな資料の作成が求められる、担当者の引継ぎの中で、伝言ゲームのように当初の最短だったプロセスが遠回りなプロセスに代わってしまう、監査の厳格化に伴い監査対応の時間が増える、等その原因を挙げるときりがありません。


そこで、業務効率化の第一のステップとして、現状どのような業務を行っているかを改めて棚卸し、適切に現状を把握をすることから始める必要があります。

業務の棚卸は自己申告による方法もありますが、合わせて担当者が業務上支障があると感じていることも情報として有用ですから、経理業


務全体の経験と知識を有するものが、個々の担当者にインタビューしてまとめて行く方が望ましいです。


業務効率化のステップの2番目は、棚卸して把握した業務について、工数=実際の作業時間を算出することです。その目的は、全ての業務を一度に改善できるわけではないので、工数の多い業務から手を付けた方が改善効果は高いため改善の優先順位を付けるためです。


そして業務上の課題、問題を特定し、解決策を考えて行くわけですが、その際 の視点として、次の8つのポイントで現行業務を見極めると整理しやすいです。


「廃止」…現行の成果物をやめる、作業をやめる、チェックをやめる 「削減」…現行の成果物のボリューム、頻度、細かさ、例外処理を減らす 「容易化」…情報の入手し易さ、判断のし易さ、後戻りしない仕組みにする 「標準化」…ルール化、ミスの起こりにくい仕組み、ルーチン業務にする 「計画化」…前倒し実施、集中化、作業時間の短縮、他部署等との連携 「分業化」…スキル・経験による最適配置、業務量の平準化、外注化 「同期化」…重複資料の統一、関連業務の集約、ワークシートの統合 「自動化」…単純業務に関するExcelの関数・マクロの活用、システムの導入どの業務も基本的に上記の8つの観点で課題がないかを検討し、課題があれば改善が期待できることになります。

■ 3.「改善」と「改革」の違い

業務改善と似た言葉で、業務改革という言葉があります。業務改善は自動車で言えばいわばマイナーチェンジで、現行業務の基本的な流れは維持しつつ、一部をよりよく変えること、例えばエクセルの資料を簡素化したり、不要な作業を削減するのに対して、業務改革はフルモデルチェンジであり、ゼロベースで一からプロセスを再構築することで、例えばエクセルの資料を一から作り直す、システムを導入する、アウトソース化、ロボットの導入、等です。


業務改善ですと、抜本的な解決策にはならないので改善効果は自ずと限界があり、数%から多くても1,2割程度の改善に留まるのに対し、業務改革では、業務量を半減、あるいは成果を2倍にするような、ドラスティックな成果を求めます。業務改革を成功させるためには、最初に全体の設計図、グランドデザインを如何に描けるかが特に重要となります。


最近話題になっているように、労働人口減少に対応するため、これらかのトレンドとしては、ITのクラウド化による低価格化、AIを搭載したロボットの進化により、これらを活用した業務の効率化が進むと考えられます。


但し気を付けなければならないのは、現状はまだ任せらるのはコピペのような単純作業で、ルールが完全に決まっている業務には向いていて、むしろ人がやるよりも速くて正確ですが、複雑で高度な作業(経理で言えば決算上の見積り計上が必要な業務等)は引き続き人が行う必要があると思います。


またロボットの設定やメンテナンス、最終的なチェック業務と言ったものは人が行うことになるので、作業が減る一方ではなく、増える作業も出てきます。


また最近は経理人材の不足している中で、財務経理業務の一部、あるいは財務経理業務そのものをアウトソースすると言ったことも増えてきているようです。アウトソース先が信頼できる先であれば、退職者が出たらそれを補充して教育すると言った、採用コストと教育コストが不要になることから、結果的に内製化よりもコストパフォーマンスが高いこともあり得ます。


ゴールとして何を目指すのかにより、とりあえずマイナーチェンジで行くのか、一時的に時間とコストをかけてでもフルモデルチェンジを行うのか、国の働き方改革の方向性は読めませんが、皆様の会社では確実に働き方改革を実践できるよう、検討されては如何かと思います。



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